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May 27, 2006

三カ国共同保存プロジェクト(日本、スウェーデン、ノルウェー)が提案されていた!

これは、私に戴いたメールを掲載します。
2001年秋に欧州海事遺産会議(EMH)のベルク議長(当時)が日本で講演したときの内容だそうです。
http://www.european-maritime-heritage.org/

名船「ステラ・ポラリス」(「スカンジナビア」と改名)の三カ国共同保存プロジェクト(日本、スウェーデン、ノルウェー)が提案されたのも、この講演会のときである。なんとかして、豪華クルーズ船の元祖を救おう・・・・という
部分に感動しました。

是非、この組織に支援していただきたいと思っています。
どなた欧州海事遺産会議(EMH)に私たちの活動を知らせていただける人いませんか?
まだ、沼津に船は残っています。
一緒に船の保存活動を支援していただきたいと思っています。

以下は、
客船研究家の山田迪生さんが、ラメール誌本年5月号用に書いた原稿です。
http://www.kaibundo.co.jp/umi/2004_08.htm

……………………………………………………
海事遺産に対する欧州の取り組み
 ―EMHのユニークな活動―
         山田廸生

EMH(欧州海事遺産会議)とは

 海事遺産(産業遺産を含む)の保護について、先進地域である欧州の取り組みを見てみよう。
 域内に多くの海洋国を擁する欧州には現在、伝統的な歴史船(Traditional Craft)が大小取り混ぜて五千隻もある。
 たいへんな隻数である。しかも、そのほとんどは現役船であり、オーナーは、民間人、博物館などさまざま。放置しておけば、経年劣化によって失われてしまう。
 なんとかして、先人から継承した歴史船を次の世代に伝えていこう。それにはまず、船のオーナーである民間人、博物館、協会などを束ねる必要がある。欧州の取り組みは、歴史船の保護問題をきっかけに始められた。
 一九九二年、歴史船オーナーの代表がアムステルダムのオランダ船舶交通博物館に集まり、会議を開いた。EU(欧州連合。当時はEC)が会議を支援した。
 まず、歴史船オーナーのネットワークをつくろう。三年ごとに会議を開き、歴史船の保護と活用について知恵をしぼろう。最初の会議で、この二つが決まった。
 三年後の一九九五年、各国代表が仏ロシュフォールに集まり、二回目の会議を開いた。そして、欧州各国のネットワークを束ねる組織がつくられることになった。
 非政府組織(NGO)のEMH (European Maritime Heritage 欧州海事遺産会議)は、こうして生まれたのである。
 執行委員会が置かれ、規則を起草した。組織の目的、活動、予算などが定められた。欧州の海事遺産の保護と活用について大きな発言力を持つEMHの骨格は、この第二回会議でつくられた。
 以来、EUの支援は続いている。EUの支援がなかったならば、EMHはこんにちの指導性、国際性を発揮できなかったであろう。

歴史船に関するMOU(了解覚書)

 一九九八年、第三回会議がデンマーク王室の支援によりヘルシングーアで開かれた。
 この会議は、これまでのEMHの歴史のうえで、最も重要な会議となった。歴史船の安全性について討議されたのである。
 欧州の歴史船は「動態保存」を理想としている。英国沿岸をクルーズしている外輪汽船「ウエヴァリー」(六百九十三総トン)は、その好例である。「係留保存」だけでも四苦八苦している日本とは、文化の質がちがう。
 歴史船は骨董品ではない。生きた姿で活用すべきであるが、なにせ古船なので、SOLAS(海上における人命の安全のための国際条約)とか、EUや各国の船舶安全ルールにふれる。 そこでEMHは、EUの運輸総局の協力のもと、歴史船の運航と、国際安全ルールおよびポートステートコントロール(寄港国取締り制度)との整合性について研究することになった。 
翌年から、数回の研究会議が開かれた。そして、域内共通性をもつ歴史船運航の指
針をまとめ、EMHのMOU(了解覚書)として成文化した。これを守れば、SOLASが求める改装なしで、歴史船の航海を認めよう、という画期的なMOUができあがった。

 二〇〇〇年秋、独ヴィルヘルムスハーフェンで、七カ国の代表(英、独、オランダ、スペイン、デンマーク、フィンランド、スウェーデン)がこれにサインした。三カ国(仏、ベルギー、ポーランド)は、国内法を整備してからサインすることになった。

 このMOUは、「ヴィルヘルムスハーフェンMOU」と呼ばれている。一連の動きは、欧州人の伝統文化に対する愛着(執着に近い)を反映したものといえる。

名船「ステラ・ポラリス」に関心

 第四回の会議は二〇〇一年にスペインのバルセロナで、第五回は二〇〇四年にスウェーデンのカールスクロナで開かれた。
 第五回の会議で、EMHを率いてきたスウェーデンのA・ベルク議長が引退し、名誉議長になった。ベルク氏は行政官の出身だった。現在の議長は、ドイツのM・フォン・バウア氏である。
 ちなみに、EMHは次の三グループの会員で構成されている。

 一般会員グループ。歴史船の民間オーナーで構成され、国ごとに代表(NationalMember)を決めている。国代表は現在、英、独、仏、オランダ、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、エストニアの九人。
 顧問会員グループ。海事博物館で構成されている。 準会員グループ。操船、セールトレーニングなどの関連協会。

 二〇〇一年秋、EMHのベルク議長(当時)が来日し、東京文化財研究所で講演した。同行したEMHのスタッフも、各専門分野について講演した。筆者は会場でこれを聴き、驚倒せんばかりのカルチャーショックを受けた。欧州と日本のあまりの文化格差に。
 西伊豆で朽ち果てていた名船「ステラ・ポラリス」(「スカンジナビア」と改名)の三カ国共同保存プロジェクト(日本、スウェーデン、ノルウェー)が提案されたのも、この講演会のときである。なんとかして、豪華クルーズ船の元祖を救おう。提案したのは、デンマークの船舶保存財団の顧問T・ラスムセン氏であった。
 だが、このことは一般に報道されなかった。なぜか、講演会場に海事ジャーナリストの姿はなかった。どんな提案も、メディア発信されなければ反響はない。
 カリブ海クルーズをおこなっていた「ステラ・ポラリス」が引退して日本に売られたのは、一九六九年である。老朽化でSOLASに対応できなくなったのが、引退の大きな理由だった。
 もしも売却先が欧州であったならば。EMHの「ヴィルヘルムスハーフェンMOU」のもと、いまも欧州海域を航走する同船の麗姿が見られたかもしれない。


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May 22, 2006

スカンジナビア号「保存・活用を」2006年05月14日 朝日新聞朝刊

 昨年3月に海上レストランの営業を終え、沼津市西浦木負に係留されたままの豪華客船「スカンジナビア」を巡り、市民グループが、保存・活用を目指して船体を買い取るトラスト運動に乗り出す。12日夜の会合で決めた。NPO法人を設立して私募債を発行し、2億円を目標に資金を集める計画だ。一方、船を所有する伊豆箱根鉄道(本社・三島市)は、海外のクルージング会社と売却に向け交渉中。「契約が遅れているのは事実だが、具体的な話は発表できない」と歯切れが悪い。(佐藤清孝)

 グループは「スカンジナビア号を保存する会」(大田黒敦雄代表)。保存に向けて1万6千人を超える署名を集め、昨年5月、船を拠点に「海の学校」などに活用するため、購入を伊豆箱根鉄道に申し入れた。

 その直後、伊豆箱根は英領バージン諸島の「ランティー社」への売却を発表。中国・上海の造船所に曳航(えいこう)、自力航行できるよう修復され、外洋クルーズ船として再出発する予定で、「(台風シーズン前の)7月には出航したい」と話していた。

 ところが、7月を過ぎても船は内浦湾を離れず、売却を発表してから1年近くたつ今も、つながれたままだ。

 伊豆箱根広報宣伝課によると、係留船を移送するには船体の検査や曳航できるタグボートの手配など様々な手続きが必要で、時間がかかっているという。「係留船の特殊性を考慮していなかった。認識が甘かったと言われても仕方がないが、金額面では折り合っているので売却に向けて交渉を続けている」と説明する。

 保存する会は、船体を買い取るトラスト運動の展開を決め、この2月、伊豆箱根に申し入れた。「交渉中」との回答でいったんは引き下がった。

 しかし、その後も伊豆箱根は出航時期を明らかにしていない。会は「これだけ長引いているのは、交渉が難航しているからだろう。最悪の場合には解体処分される恐れがある」(大田黒さん)と危機感を抱き、改めてトラスト運動への取り組みを決めた。

 保存する会を母体にNPO法人を設立し、船の利活用方法を練る一方、私募債の「スカンジナビア号再生・NPO夢債券」を発行して出資者を募り、買い取り資金として2億円を確保する。出資者には、10年後に0・1%程度の利子を付けて返還する計画だ。

 船の保存・活用を地域振興の柱に位置づけ、地元の漁協や町内会などにも運動への協力を依頼。今月末、伊豆箱根に買収を申し入れる。NPOの会長には、「海の男」として知られる俳優の加山雄三さんにお願いする予定だ。

 保存する会の会員からは「西欧では建造から100年たてばビンテージからアンティークに昇格する。スカンジナビアはあと20年持ちこたえれば世界遺産レベルになる」との声も出ている。大田黒さんも「現地で保存・活用しながら余生を送らせたい」と期待する。

 伊豆箱根は「契約のメドがいつになるのかはコメントできない。現時点では保存する会に売却することはあり得ないが、解体することは絶対にない」と話している。

◆スカンジナビア 
 1927年にスウェーデンで建造されたヨット型客船。全長127メートル、全幅約17メートル。総トン数約5100トン。当時は「ステラポラリス」(ラテン語で北極星)の船名で、バルト海や地中海、太平洋などをクルーズした。

 現役引退後の70年、伊豆箱根鉄道が購入し、日本初の海上ホテルとして営業を始めた。優雅な白亜の船体が人気を呼び、ピーク時の90年度には宿泊やレストラン、結婚式、見学で10億3千万円の売り上げがあった。99年から宿泊をやめてレストラン事業に絞ったが、売り上げは伸び悩み、昨年3月に営業を終えた。 Asahi_news20060514
写真は
昨年5月に売却先が発表されてから1年近く係留されたままの元客船「スカンジナビア」=沼津市西浦木負で

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