三カ国共同保存プロジェクト(日本、スウェーデン、ノルウェー)が提案されていた!
これは、私に戴いたメールを掲載します。
2001年秋に欧州海事遺産会議(EMH)のベルク議長(当時)が日本で講演したときの内容だそうです。
http://www.european-maritime-heritage.org/
名船「ステラ・ポラリス」(「スカンジナビア」と改名)の三カ国共同保存プロジェクト(日本、スウェーデン、ノルウェー)が提案されたのも、この講演会のときである。なんとかして、豪華クルーズ船の元祖を救おう・・・・という
部分に感動しました。
是非、この組織に支援していただきたいと思っています。
どなた欧州海事遺産会議(EMH)に私たちの活動を知らせていただける人いませんか?
まだ、沼津に船は残っています。
一緒に船の保存活動を支援していただきたいと思っています。
以下は、
客船研究家の山田迪生さんが、ラメール誌本年5月号用に書いた原稿です。
http://www.kaibundo.co.jp/umi/2004_08.htm
……………………………………………………
海事遺産に対する欧州の取り組み
―EMHのユニークな活動―
山田廸生
EMH(欧州海事遺産会議)とは
海事遺産(産業遺産を含む)の保護について、先進地域である欧州の取り組みを見てみよう。
域内に多くの海洋国を擁する欧州には現在、伝統的な歴史船(Traditional Craft)が大小取り混ぜて五千隻もある。
たいへんな隻数である。しかも、そのほとんどは現役船であり、オーナーは、民間人、博物館などさまざま。放置しておけば、経年劣化によって失われてしまう。
なんとかして、先人から継承した歴史船を次の世代に伝えていこう。それにはまず、船のオーナーである民間人、博物館、協会などを束ねる必要がある。欧州の取り組みは、歴史船の保護問題をきっかけに始められた。
一九九二年、歴史船オーナーの代表がアムステルダムのオランダ船舶交通博物館に集まり、会議を開いた。EU(欧州連合。当時はEC)が会議を支援した。
まず、歴史船オーナーのネットワークをつくろう。三年ごとに会議を開き、歴史船の保護と活用について知恵をしぼろう。最初の会議で、この二つが決まった。
三年後の一九九五年、各国代表が仏ロシュフォールに集まり、二回目の会議を開いた。そして、欧州各国のネットワークを束ねる組織がつくられることになった。
非政府組織(NGO)のEMH (European Maritime Heritage 欧州海事遺産会議)は、こうして生まれたのである。
執行委員会が置かれ、規則を起草した。組織の目的、活動、予算などが定められた。欧州の海事遺産の保護と活用について大きな発言力を持つEMHの骨格は、この第二回会議でつくられた。
以来、EUの支援は続いている。EUの支援がなかったならば、EMHはこんにちの指導性、国際性を発揮できなかったであろう。
歴史船に関するMOU(了解覚書)
一九九八年、第三回会議がデンマーク王室の支援によりヘルシングーアで開かれた。
この会議は、これまでのEMHの歴史のうえで、最も重要な会議となった。歴史船の安全性について討議されたのである。
欧州の歴史船は「動態保存」を理想としている。英国沿岸をクルーズしている外輪汽船「ウエヴァリー」(六百九十三総トン)は、その好例である。「係留保存」だけでも四苦八苦している日本とは、文化の質がちがう。
歴史船は骨董品ではない。生きた姿で活用すべきであるが、なにせ古船なので、SOLAS(海上における人命の安全のための国際条約)とか、EUや各国の船舶安全ルールにふれる。 そこでEMHは、EUの運輸総局の協力のもと、歴史船の運航と、国際安全ルールおよびポートステートコントロール(寄港国取締り制度)との整合性について研究することになった。
翌年から、数回の研究会議が開かれた。そして、域内共通性をもつ歴史船運航の指
針をまとめ、EMHのMOU(了解覚書)として成文化した。これを守れば、SOLASが求める改装なしで、歴史船の航海を認めよう、という画期的なMOUができあがった。
二〇〇〇年秋、独ヴィルヘルムスハーフェンで、七カ国の代表(英、独、オランダ、スペイン、デンマーク、フィンランド、スウェーデン)がこれにサインした。三カ国(仏、ベルギー、ポーランド)は、国内法を整備してからサインすることになった。
このMOUは、「ヴィルヘルムスハーフェンMOU」と呼ばれている。一連の動きは、欧州人の伝統文化に対する愛着(執着に近い)を反映したものといえる。
名船「ステラ・ポラリス」に関心
第四回の会議は二〇〇一年にスペインのバルセロナで、第五回は二〇〇四年にスウェーデンのカールスクロナで開かれた。
第五回の会議で、EMHを率いてきたスウェーデンのA・ベルク議長が引退し、名誉議長になった。ベルク氏は行政官の出身だった。現在の議長は、ドイツのM・フォン・バウア氏である。
ちなみに、EMHは次の三グループの会員で構成されている。
一般会員グループ。歴史船の民間オーナーで構成され、国ごとに代表(NationalMember)を決めている。国代表は現在、英、独、仏、オランダ、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、エストニアの九人。
顧問会員グループ。海事博物館で構成されている。 準会員グループ。操船、セールトレーニングなどの関連協会。
二〇〇一年秋、EMHのベルク議長(当時)が来日し、東京文化財研究所で講演した。同行したEMHのスタッフも、各専門分野について講演した。筆者は会場でこれを聴き、驚倒せんばかりのカルチャーショックを受けた。欧州と日本のあまりの文化格差に。
西伊豆で朽ち果てていた名船「ステラ・ポラリス」(「スカンジナビア」と改名)の三カ国共同保存プロジェクト(日本、スウェーデン、ノルウェー)が提案されたのも、この講演会のときである。なんとかして、豪華クルーズ船の元祖を救おう。提案したのは、デンマークの船舶保存財団の顧問T・ラスムセン氏であった。
だが、このことは一般に報道されなかった。なぜか、講演会場に海事ジャーナリストの姿はなかった。どんな提案も、メディア発信されなければ反響はない。
カリブ海クルーズをおこなっていた「ステラ・ポラリス」が引退して日本に売られたのは、一九六九年である。老朽化でSOLASに対応できなくなったのが、引退の大きな理由だった。
もしも売却先が欧州であったならば。EMHの「ヴィルヘルムスハーフェンMOU」のもと、いまも欧州海域を航走する同船の麗姿が見られたかもしれない。
--------------------------------------
TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/90245/10263789
Listed below are links to weblogs that reference 三カ国共同保存プロジェクト(日本、スウェーデン、ノルウェー)が提案されていた!:

Comments